金彩仏衣
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「仏衣(ぶつい)」は、納棺の際に遺体に着せる衣装のことを言い、別名「死装束(しにしょうぞく)」とも言われ、全身真っ白な色をしているのが一般的です。
普段は京友禅染を主体にお仕事をしており、このように仏衣の金彩加工というのは我が工房でも初めての試みでした。
当工房がHP運営を始めて最初の問い合わせがこの仏衣の金彩加工依頼でした。HPでも表紙に使っているこちらの作品を見てぜひ加工を依頼したいとご連絡をいただきました。
こちらの帯は二代目が最も得意としていた技法で描かれた金線松を四代目が技術継承を目的とし製作された名古屋帯。従来は金線描きだけで加工されるものですが四代目はそこに盛金括り(立体的な線を定着材で金線描きを施す技法)で加工を施し、2種類の箔で張り分けた後に間を埋めるように2種類の金線描きでさらに加筆しています。
今回の仏衣への金彩加工は仕立て上がった状態で加工を施しているため加工の種類には制限がかかっていますがそれでもできる範囲で色々なものを提案させていただきました、
最初の依頼内容からまずは金線松を
そしてこちらは蓮柄の仏衣
サンプルで加工したものの一つを採用していただきました。
今回の依頼をお受けしている昨年の夏に二代目が亡くなりました。生前着ていた着物の胸に1ポイントとして金線松の柄を加工して送り出しました。極楽浄土への旅立ちに携わるというのも新たな感覚でしたが良いものですね。