道長取りに水衣
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定期的に製作している『水衣』その最新作。

これまでの作品とは違い線の全てを盛金加工で施してあり、箔の光沢が影響し見る角度によって連なった線は大きく雰囲気を変える。



この作品を生み出すきっかけになった大きな理由
『水衣』と呼ばれるこの加工方法は全ての線を金線描きで描写していくため、非常に手間と時間を必要とする高価な加工技術の一つでもあるため、昨今は着物への加工としては需要がなくなり加工を可能とする技術者がほとんどいない状況にあります。それに加え、この技法を編み出した職人はすでに亡くなられているため本家本元から技術を継承することは不可能な状況にあります。
そんな状況下、数年ほど前に金彩の修繕の依頼という形でこちらの商品が工房にやってきました


本家本元の水衣加工を施された黒留袖。改めて見ても非常に高い技術と粋な線が魅力的です。
この商品が来たときに大量の参考写真を撮影し模写をしておきました。非常に魅力的な技術ではあるのですが、着物に加工する機会はこの先よほどのことがない限りないと思われます。
「ならば着物以外に転用し技術を残していけるようにしよう」と思い立って制作したのがこのパネルアートです。すでに技術者が途絶えかけている技法ですが新たな舞台のもとで輝く機会があることを強く願います。
使用技法
・金線描き
使用素材
・着色箔(銀箔 水金箔)
・合成樹脂糊