田中金彩工芸 TANAKA KINSAI CRAFT

Works制作実績

京手描友禅の金彩制作実績です。

絵羽後直し

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着物の修繕の中でも特に多い依頼の一つ『絵羽後直し』

金彩加工は特にその性質上仕立てをされる部分の変色や剥離を起こしやすく、仕立て直しなどを行う際には問題になりやすい部分です。お直しのお仕事の中でもよくいただく仕事内容でもあります。

着物には地直し屋と呼ばれる着物の汚れや傷を治してくださる専門家の方々がいらっしゃるのですが、生地にできた汚れとは根本的に違い「金彩の劣化」による変色のため地直しの方々の修繕方法とは異なります。(幅広く修繕をされる方であれば地直しの職人さんでも治してくださいます。)

特に今回の桜の柄のように色箔を使用されて加工されたものは似たような色の箔を所有していない場合、桜の色を金色に無理やり変えたりするような修繕になるため雰囲気が少し変わってしまうこともあります。
日頃仕事では滅多に使わない色ではありますが、田中金彩工芸が多種多様な色箔を所有しているのはこういった修繕依頼に出来るだけ応えられるようにしているのも一つの理由です。

こういった色箔の修繕は少し特殊ですが基本的には金銀の絵羽後直しが依頼の中では多いですね。

色箔よりは簡単そうに見えますが金彩の修繕というのはそこまで単純な話ではなく、絵羽後の縦筋は誰が見てもわかる劣化具合ですが、古い着物の金彩加工というのは全体が経年変化を起こしており最初の頃の光沢が落ち着いた雰囲気になっています。
その為、全く同じ材料を使ってもその部分だけは経年変化を起こしてない材料による修繕となってしまい修繕部分だけが綺麗に見えて悪目立ちをしてしまいます。なので、ただ単純にその色を使って修繕すればいいというわけではありません。経年変化を計算に入れた修繕が必要になります。

これらは工房においてある金箔系統の一部。赤味がかったものから黄味がかったもの、金と銀の間のような中色と呼ばれるもの。これらを用いて経年変化にあった色味のものを選んで修繕します。
ただ、箔を貼るだけでは光沢が出過ぎてしまうので砂子(箔を細かく砕いたもの、振金加工などで使う竹筒を使い細かい粉にして使う)にしてから光沢を下げて修繕します。

こういった部分修繕は本当に難しいものから簡単なものと幅が広いものですが出来るだけ対応できるようにしています。

もしも。お着物の修繕でお悩みの方は相談だけでも構いませんので気軽にお問い合わせください。

TEL 075-821-0873(受付時間 平日9:00〜19:00)

制作のご相談・ご質問、ワークショップのご依頼等がございましたらお気軽にお問い合わせください。