京都精華大学 講義&ワークショップ
京都精華大学にて講義とワークショップさせていただきました。
今回ご依頼をいただいてからというものどういったことを学生に向けてお話しするか大変悩みました。同世代の友人や職人さんに相談したり、外食している際にアルバイトで働いている現役の大学生に質問してみたりと色々な情報を集め今回講義でお話しさせていただくものを固めていきました。その内容を軽く交えながら今回のワークショップに関してもお話ししていこうかと思います。
京友禅金彩工芸の歴史
金彩工芸の技術を元々は印金と呼ばれていました
印金の歴史はかなり古く、中国の明や宋の時代に織物の上に膠などの定着剤、漆で模様を置きそこに金箔を押し当てて乾燥したものを、拭き取って模様を表現する銷金と呼ばれる技術が伝来したものです。
この銷金技法が日本に伝わり印金として発達していきます。
印金技法の中で特に発達して行ったのが摺箔技法。辻ヶ花と並んで桃山時代を代表する小袖染織は刺繍と摺箔技法を駆使して模様を表現したものですが、この技術が中国の銷金技術が日本で花開いたものでもある。
この摺箔技法も江戸後期になり、友禅染の出現により染のための補助的な加飾手段になっていきました。
京都精華大学 特別ワークショップ
今回、京都精華大学様と打ち合わせの際にどのような体験にするかお話しさせていただきました。普段のワークショップは金彩の体験をお客様に楽しんでいただきながら綺麗に仕上がるように工夫されているのですが、今回はこれから自分の道を選んで社会に出て行こうとする学生が対象です。
それならばもっと濃密な職人体験を味わってもらおう。そう考え今回は金線描きを体験していただくことにしました。金銭描きはほとんどの体験者が初日からまともに扱えるような技術ではなく非常に難しい技術でありながら、金彩職人が初めに覚える技術であり生涯技術を磨いていくものです。
体験後は現在の友禅業界の話や職人に求められること、この世界の面白さや大変な部分のお話をさせていただきました。
少し体験内容としては難しい部分もあったかと思いますが、講義後学生が個人的な相談をしに来てくれたり、もう少し踏み込んだ話をさせていただき私としても非常に楽しい1日となりました。